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スポーツ前後のクールダウンを忘れずに!
効果的に体温を下げる方法

夏場、熱のこもりやすい室内でのスポーツやマラソンといった長時間の運動時に、予想以上に疲れてしまったり、夏バテを引き起こしたりといった経験を持つ方もいるでしょう。暑さによって体温が上昇し、熱中症リスクも高い夏は、運動後だけでなく運動前にも体を冷やすことが大切です。きちんと体を冷やしてから運動に取り組むことで、パフォーマンスの維持にも効果が得られます。
そこで、夏のスポーツ時に実践したい、効果的に体温を下げる方法をご紹介しましょう。

運動前にも体を冷やす目的

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運動後のクーリングが大切といわれていますが、実は運動前にも体を冷やすことで、次のような効果が得られます。

●運動中の体のコンディションが整う
●運動中のパフォーマンス維持に役立つ
●夏バテや熱中症対策になる

私たちの体は、気温などを問わず、常に同じくらいの体温に保たれています。これは、体内で作られる熱と、血液循環によって皮膚から体外へ逃げていく熱とが、バランスをとることで保たれているのです。

運動などで体を動かすと、体内で作られる熱が増えて体温が上昇しますが、この体温の上昇は、体温調節機能によってある程度の温度までに抑えられます。このときの私たちの体内は、熱を外へ逃すための「皮膚血流」と、筋肉を動かすための「筋血流」とが、血液を奪い合っている状態。心臓へ送られる分の血液も含めて、運動中の体の中で適切な血液配分ができるよう、調整が行われているのです。

運動中の体内では、こうした体温調節が行われていますが、夏場の暑い環境で運動を行った場合、より体温が上昇したり、血液配分のバランスがとれなくなったりします。その結果、体のコンディションが崩れ、パフォーマンスの低下や循環器系・神経系の機能不全などの原因となってしまうのです。

体の体温調節機能や血液配分を正常な状態に保つためにも、運動中に体温が上がりすぎないよう、運動前から体を冷やしておくことが重要といえます。

運動前と運動中に体温を上手に下げる方法

運動中に体温が上がりすぎることを防ぐための、運動前のクーリングの方法について見ていきましょう。

前日は睡眠と水分をしっかりとる

夏バテや熱中症リスクの高い夏場は特に、運動する前日からコンディションを整えておくことが大切。寝不足や水分不足の状態で取り組むことのないよう、生活習慣を整えます。脱水状態になりやすい二日酔いや風邪のときは特に危険なため、無理に体を動かさず、休養を取ってください。

アイススラリーを活用する

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「アイススラリー」とは、とても細かい氷の粒と液体が混ざった、やわらかいシャーベット状の飲料のこと。アイススラリーを運動前に摂取することで、体内の深部の温度を効率的に下げることができるといわれています。アイススラリーの代わりに、氷を砕いたスムージーでもいいでしょう。

アイススラリーが、体内の温度を効率的に下げることができる理由は、「氷の粒」と「液体」の両方があるということ。摂取した氷の粒は、体内で液体へと変わるときに、体内の熱を吸収する働きがあります。また、液体は氷の粒がなるべくたくさんの体内の組織と接することのできるよう、接触面積を広げてくれる役割を持つのです。

これは、缶やペットボトルの飲料をボックスの中で冷やす際、大きな氷だけで冷やすよりも、氷を入れた水の中で冷やしたほうが効率的に冷やすことができるのと同じ原理。夏場のスポーツ前の水分補給には、アイススラリーを取り入れてみてください。

運動前は手を冷やす

熱中症などで体温を下げる必要のあるときは、首や脇の下、脚の付け根を保冷材で冷やすのが一般的。しかし、まだそれほど体温が上がっていない運動前にこうした部位を冷やすと、体が驚いて反対に体温を上昇させようとする反応を起こすこともあるため、注意が必要です。

そこで、運動前は体の末端である手のひらや足の裏を冷やしましょう。ここは、動脈と静脈が行き来している部分のため、冷やされた血液が体内をめぐることで、深部体温を下げられるのです。
方法としては、10~15℃の水に、両手を3~10分ほど浸けて冷やします。両手に加えて両足を冷やすと、さらに効果的ですよ。

運動中も定期的に体を冷やす

運動前に体を冷やしたとしても、長時間運動をするのであれば、定期的に休憩を挟み、体を冷やして効果を持続させる必要があります。また、運動後もしっかりとクールダウンさせることが大切です。

運動によって体温が上がっている休憩中や運動後には、効率的にクールダウンできる体の部位を冷やしましょう。手首や首、ひじの内側、ひざの裏側、こめかみなどがおすすめです。冷やし方は、保冷材を包んだバンダナや、濡らしたタオルを巻くといった方法が◎。

体温を下げる食材・上げる食材

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最後に、体温を下げる効果がある食材・上げる効果がある食材をそれぞれご紹介します。これらは、運動前に食べてすぐに効果があるというわけではありませんが、体調に合わせて日々の食事に取り入れることで、体のコンディションを整え、暑い夏を快適に過ごすことに役立つでしょう。

体温を下げる食材

体温を下げる効果がある食材の多くが、暑い時期に採れる物といわれています。特に、カリウムと水分を豊富に含んだ夏野菜がおすすめ。カリウムと水分を多く持つ食材は利尿作用に優れており、尿とともに体の熱を逃してくれるため、効果的に体温を下げることができるのです。

代表的な食材としては、トマト、きゅうり、なす、レタス、ゴーヤ、スイカ、バナナ、梨などが挙げられます。中でもきゅうりは、カリウムと水分が豊富です。

体温を上げる食材

体温を上げる食材は、下げる食材とは反対に、寒い時期に旬となる物や、寒冷地で採れる物に多いといわれています。
代表的な食材は、にんじんやかぼちゃ、ごぼう、れんこんなど。冷房などで夏の冷えを感じたときに、積極的に取り入れるといいでしょう。

~おわりに~
夏にも運動習慣を取り入れることは、夏バテ防止や健康維持にも効果的ですが、取り組み方によっては体調を崩してしまう危険性もあります。そのため、適度に休憩を取り入れつつ、体温が上がりすぎないように注意して行うことが大切です。
水分補給も忘れずに、ここでご紹介したクーリング方法も実践しつつ、夏のスポーツを楽しみましょう!