
腸活×運動で最強ボディへ!腸内環境を整える運動や食事とは?
お腹の調子を整えたい、身体の不調や疲労を感じている、というような悩みを持つ方は、腸活によって改善できる可能性があります。食習慣や運動習慣を見直して腸内環境を良い状態に整える腸活は、免疫力向上や生活習慣病予防の効果も期待できるでしょう。
本記事では、腸活の具体的な実践方法や効果、おすすめの運動などを説明します。

教えてくれたヒト
- スポーククラブ ルネサンス
安藤トレーナー - 管理栄養士の資格を持つルネサンストレーナーとして運動や栄養指導などを幅広く担当。
腸活とは自律神経を整えること
腸活とは、「自律神経を整えること」です。
自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経は、活動時やストレスを感じているときに優位になり、内臓、特に消化器官の働きを低下させます。このため、食べたものが十分に消化されず腸に送られます。一方、副交感神経はリラックス時や休息時に優位になり、内臓の働きが活発になり、消化がスムーズに行われます。
現代人は交感神経が過剰に働きやすく、これが腸内環境の悪化を引き起こしています。交感神経が優位な時間が長いと、十分に消化されなかった食べ物が腸の内壁を傷つけたり、悪玉菌の餌になったりします。結果として、悪玉菌が増加し、腸内環境が悪化します。
腸内環境を整えるためには、副交感神経が優位になるようリラックスすることが重要です。
なぜ腸内環境を整えることが大事なのか?

健康を保つために腸活が注目されていますが、なぜ腸内環境を整えることが大事なのでしょうか。以下で腸内環境を整えることで期待できる効果を説明します。
感染症・アレルギーなどのリスクを下げる
腸内環境を整えることは、有害物質の侵入を防ぎ、感染症やアレルギーのリスクの減少に役立ちます。腸に存在する腸内細菌は免疫細胞を活性化し、適切な免疫応答を促進します。腸内環境が良好であれば、免疫機能が向上し、感染症のリスクが低下します。
また、腸内フローラ(腸内に生息する微生物の集まり)のバランスが保たれることで、免疫系が正常に機能し、アレルギー反応が抑えられると考えられます。
腸から分泌されるホルモンが生活習慣病を予防する
腸から分泌される消化ホルモンのひとつGLP-1は、血糖値の上昇を抑えたり、強く食欲を抑制したりする働きがあるため、肥満をはじめとした生活習慣病を予防する効果が期待できるといわれています。
腸脳相関は自律神経にも影響する
腸内環境は健康を保つだけでなく、自律神経にも影響を与えることがわかってきました。腸以外の内臓は脳の指令で働きますが、腸は独立して活動できると最近の研究で判明しました。さらに、脳と腸は情報を交換し合い、「腸脳相関」と呼ばれる関係で互いに影響を与え合っています。
例えば、緊張するとお腹が痛くなったり、腸の調子が悪いと気分が落ち込んだりするのも腸脳相関の例です。このように、腸内環境を整えることは自律神経のバランスを保つためにも重要なのです。
自律神経を乱す要因
自律神経は消化管の動きや機能を調整しており、ストレスや不規則な生活習慣が自律神経に影響を与えると、腸の動きにも異常が生じることがあります。自律神経が乱れる要因について、以下で説明しましょう。
運動不足
長時間座りっぱなしで運動不足になると、副交感神経が十分に活動せず、身体がリラックスできなくなります。デスクワークの合間に立ち上がって身体を動かしたり、適度な運動を取り入れたりすることで、交感神経と副交感神経のバランスを保ち、自律神経の維持することが大切です。
運動のしすぎ
筋トレなどの強度の高い運動をやりすぎると交感神経が過剰に働いてしまうため、かえって自律神経を乱す要因となります。
東北大学の研究では、週30~60分の筋トレをしている場合が最も疾病リスクが低い一方で、週130分を超えるとむしろリスクが高くなるという結果が出ています。何事も、やりすぎは良くないということにも留意しましょう。
※参考:東北大学「ムキムキを目指すだけが筋トレではない。 筋トレで死亡・疾病リスクが減少 週30~60分を目安に」(2022年3月1日発表)
自律神経を整えて、腸内環境を良い状態にするための運動のポイント
自律神経を整えて腸内環境も良い状態にするための運動のポイントは、「背骨を動かす」ことと「呼吸数を減らす」ことです。
交感神経が優位の状態だと、呼吸数が増え、背骨の動きが悪く(硬く)なり、副交感神経が優位の状態では、呼吸数が減り、背骨の動きが良く(柔らかく)なります。
交感神経が優位になった自律神経を副交感神経が優位な状態へと整えるには、運動中に意識的に呼吸数を減らし、背骨を動かすことを心掛けましょう。
腸内環境を整えるために効果的な運動
ここからは、腸内環境を整えるのにおすすめの運動を紹介します。全身の健康を維持するために、以下の運動を日常的に取り入れてみてください。
ヨガ・ストレッチ

ヨガやストレッチは背骨を動かしつつ呼吸も意識するため、自律神経を整える効果がとても高いといわれています。
朝起きたときや仕事の休憩時間、就寝前など、短い時間でも問題ありませんので、できるだけ1日に行う回数を多くすることを心掛けましょう。
有酸素運動

ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を行うことで、心肺機能が向上し、体内の酸素の利用効率が良くなります。酸素の利用効率が上がることで呼吸数が減少し、副交感神経は優位になるといわれています。その結果、身体はリラックス状態になり、心拍数や血圧が安定し、消化や免疫機能が促進されるのです。
運動強度は軽く息が上がる程度、会話が続けられるくらいの呼吸が目安です。運動強度が高く息が上がりすぎると、かえって交感神経が過剰に働いてしまう可能性があるため注意してください。
運動不足の方が有酸素運動を行う時間の目安は、15分程度です。慣れてきたら少しずつ時間を延ばしていきましょう。
筋トレ

筋トレも腸内環境を整える効果が期待できます。筋トレをすると筋肉を使った部分が熱く感じるのは、体内で乳酸が発生しているためです。
この乳酸は、元々は疲労物質として知られていました。しかし近年、体内で発生した乳酸は腸内に放出され、それを餌にして働く善玉菌がいることがわかっています。
運動強度の目安は、使っている筋肉がやや熱くなる程度です。回数は1セットあたり20~30回程度を2~3セット、1週間に2~3回を目安に行いましょう。
腸内環境をサポートする食事のポイント
運動以外にも食事や食習慣を見直すと、より腸内環境が整いやすくなります。ここでは、3つのポイントに分けて見ていきましょう。
食物繊維を摂る
食物繊維を摂ると、血糖値の上昇を抑えたり、食欲を抑える働きがあるホルモン(GLP-1)の分泌を促進したりするだけではなく、余分なコレステロールを便といっしょに排出するといったメリットがあります。
食物繊維は多くの人にとって不足しがちな栄養素ですので、意識して摂るように心掛けてください。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」によると、食物繊維の食事摂取基準の目標量は、成人男性が1日21g以上、成人女性では1日18g以上とされています。
厚生労働省「(PDF)日本人の食事摂取基準(2020年版)」(2020年12月発表)
質の良い油を少量摂取する
腸内環境のためには、質の良い油を摂ることも大切です。細胞は一つひとつが細胞膜に覆われており、この細胞膜は主に脂質から構成されています。
例えば、調理に推奨されているのはオリーブオイルやアボカドオイルです。こうした油を選ぶ際は無農薬であることやエキストラバージンであること、遮光瓶に入っていることも確認しましょう。
調理における使用量は親指1~2本分、大さじ1杯までを目安にすることをおすすめします。
プロバイオティクスとプレバイオティクスを意識する
プロバイオティクスとプレバイオティクスを意識することで、腸内環境のサポートにつながります。
プロバイオティクスとは、善玉菌を含む食品を摂ることです。最近では、善玉菌が含まれた食品、飲み物、サプリメントが増えており、これらを摂ることがプロバイオティクスに当たります。
一方、善玉菌が効果的に働くためには、その餌となる栄養素を摂る必要があります。これがプレバイオティクスです。善玉菌の餌となる水溶性食物繊維は、通常の食事では十分に摂取しにくいことがあります。この場合、サプリメントを活用するのが良いでしょう。
おすすめの水溶性食物繊維サプリメントには、「イヌリン」や「グァーガム分解物」があります。これらは無味無臭で、ご飯を炊くときや、お味噌汁、スープ、コーヒー、茶などに混ぜることができます。