秋冬に起こりやすい乾燥トラブルとは?
日常生活で実践したい乾燥予防のポイント

湿度が大幅に下がって乾燥しやすくなる秋冬。乾燥は、肌荒れや風邪をはじめとするさまざまなトラブルの原因となるため、日頃から乾燥対策を実践していきたいものです。では、乾燥によってどのようなリスクがあるのか、また乾燥しやすい室内環境の例や、乾燥予防となる生活習慣に取り入れやすい対策を紹介していきます。

秋冬の乾燥による
さまざまなトラブル

まずは、乾燥が原因となって引き起こされやすい症状について見ていきましょう。

●肌トラブル
空気が乾燥すると肌のバリア機能が低下し、水分が蒸発しやすい状態となってしまいます。皮膚の新陳代謝であるターンオーバーに必要な水分も逃げてしまうため、肌荒れを起こしやすくなるのです。
●風邪
空気が乾燥するほど、風邪のウイルスは活発化します。肌と同じく、乾燥によって鼻や喉の粘膜も水分を失って乾燥しやすくなり、風邪ウイルスが侵入しやすい状態になるため注意が必要です。
●脱水症状
夏に発症しやすいと思われがちな脱水症状ですが、乾燥するシーズンも気を付ける必要があります。皮膚からは水分が蒸発しており、体内の水分は減少していきます。また、呼気にも水分は含まれるため、呼吸をする度に水分は失われているのです。
冬場は夏ほど汗をかかないため、水分補給も怠りがちですが、皮膚から蒸発したり、呼吸によって失われたりした分の水分をきちんと補給しないと、脱水症状に陥る可能性があります。

自宅やオフィスは大丈夫?
乾燥しやすい環境チェック

ここからは、特に乾燥しやすい環境のチェック方法を見ていきましょう。湿度や換気設備に注目し、自宅や職場は乾燥しやすい環境かどうか、確認してみてください。

湿度管理の方法と空調の使い方は?

まずは、乾燥予防に適した湿度が保たれているかどうかを確認してみましょう。インフルエンザを予防するために適切な室内の湿度は50〜60%、また肌にとって適切な湿度は60~65%とされています。暖房や冷房のかけすぎは、室内の湿度を下げるので注意しましょう。

「24時間換気」は乾燥を招きやすい

日本の住宅の多くが、室内の保温性を高める「高気密・高断熱」の構造を取り入れています。この構造の建物には、常に一定量の屋外空気を取り込んで換気扇で排気する「24時間換気」の空調が設置されています。この設備は、冬場の乾燥した外気を常に取り込んでしまうため、室内が乾燥しやすくなります。

乾燥トラブルを予防するために実践したい生活習慣

乾燥トラブルを予防するには、日常的に対策をとる必要があります。毎日の生活習慣に取り入れやすい乾燥対策は、次のようなものです。

部屋の加湿

気密性が高く、エアコンによって空気が乾燥しやすい現代の住宅は、室内の湿度を保つ工夫が求められます。例えば、加湿器を使用したり、観葉植物を置いたりしてもいいでしょう。

熱いお湯の長風呂は避ける

熱いお湯のお風呂に長時間入ると、肌の表皮の皮脂が溶かされてしまいます。その結果、角質層の水分量が減り、肌が乾燥しやすくなってしまうのです。お湯は40℃以下に設定し、入浴後はクリームなどの保湿アイテムを使って肌の乾燥を予防しましょう。

マスクの着用

マスクを着用すると、呼気によって湿気がマスク内にとどまるため、保湿効果が得られます。加湿器のない場所や屋外では、マスクを着用することで喉の乾燥を防ぐことができるでしょう。
また、起床時の喉の渇きが気になるときや、鼻が詰まって呼吸がしにくいと感じるときは、就寝時にマスクを着用するのが◎。最近は乾燥予防に特化した「濡れマスク」も登場しています。

日々の洗顔や化粧品にも配慮する

洗浄力の強い洗顔料で過度に洗顔をしていると、肌に必要な皮脂もはがれ落ちてしまい、乾燥肌の原因となります。化粧品の場合も、肌のバリア機能を破壊して保湿力を低下させる「合成界面活性剤」が含まれる製品の使用は、できるだけ避けたほうがいいでしょう。

水分補給

喉の乾燥対策としては、こまめな水分補給がおすすめです。寒い季節に冷水を飲みすぎると内臓を冷やしてしまうため、常温またはぬるめの水を飲むようにしましょう。

規則正しい生活習慣

食事・睡眠・運動をはじめとする規則正しい生活習慣を心掛けることも大切です。乾燥肌を予防するために効果的な生活習慣は次のようなものが挙げられます。

●乾燥肌を予防する栄養素をとる
日々の食事による栄養バランスが、健康的で潤いのある肌づくりにもつながります。乾燥肌を防ぐためには、肌のターンオーバーを正常にさせ、潤いを維持することが大切です。
ターンオーバーを活発化させたり、皮膚に潤いを持たせたりする栄養素であるたんぱく質やビタミンA、ビタミンB群、肌の新陳代謝を活発にしてバリア機能を高めるビタミンE、コラーゲンの合成を促進させるビタミンCを、積極的にとるようにしてください。
●質の良い睡眠をとる
肌のターンオーバーは、睡眠中に行われます。肌の正常なターンオーバーを促進し、乾燥肌予防にもつなげるためには、十分な睡眠、質の良い睡眠をとることを意識しましょう。
●適度な運動をする
適度な運動をして発汗することで、肌に水分が補われます。適度な汗によって、肌を保湿して守る働きがある「皮脂膜」が、正常に作られるのです。また、運動は血流を促進し、肌の隅々まで栄養成分が行き届くことも助けるため、角質層の正常な形成にも効果的です。

~おわりに~
寒い季節に乾燥対策をせず過ごすと、肌荒れや風邪のリスクが高まり、思わぬトラブルが起こるおそれがあります。毎日の暮らしに意識的に乾燥対策を取り入れて、健康的に過ごせるようにしましょう。