枕・布団・マットレス…
ぐっすり眠れる寝具の選び方

新しく枕を買ったけれど、高さが合わず眠りにくくなってしまった…というような声はよく聞きます。枕に限らず、マットレスや毛布などの毎日使う寝具は、睡眠の質に大きく影響してきます。せっかく寝具を変えるのであれば、より良い眠りが得られるものを選んでいきたいところです。ここでは、眠りの質を高める寝具の選び方について見ていきましょう。

寝具が睡眠の質に与える影響とは?

毎日何気なく使っているベッドや布団。マットレスやシーツ、掛け布団、枕などから構成される寝具の質は、深く快適な眠りが得られるかどうかを大きく左右します。

例えば、全身を支えるマットレスの安定感や掛け布団の軽さ、フィット感などが自分の体にぴったりであるほど、睡眠時の体勢も安定し、ストレスを感じることなく眠ることができます。逆に不自然な姿勢となったり、寝返りしにくかったりする寝具を使っていると、体の不調の原因につながる可能性もあるのです。

質の良い睡眠を支える寝具の選び方

ここからは、具体的にマットレスや枕など寝具の選び方のポイントを見ていきましょう。これらすべての寝具に共通している選び方の条件は、「体に優しく、負担をかけない物」。体温や発汗具合によって変化する温度や湿度を適切に保つ「保温性」と「吸湿性」、さらに吸収した湿気を空気中に発散させる「放湿性」の高い寝具が、体にやさしい寝具とされています。

マットレス・ベッドパッドの選び方

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マットレスやベッドパッドなどの土台は、無理のない寝姿勢を保って寝られるかが重要です。無理のない寝姿勢とは、「人が直立した際に、背骨がS字をなだらかに描いた状態」が寝ている状態でも保てていること。土台が柔らかすぎると、体の重みを受けて沈みやすくなり、不自然な寝姿勢となってしまいます。

こういった不自然な寝姿勢を続けていると、腰痛などの原因にもなります。一方で硬すぎると、その人自身の体重で背や腰に負担が掛かり、寝苦しさを感じたり、必要以上に寝返りが多くなって睡眠が浅くなったりしてしまいます。

●マットレス
マットレスは、「硬さ・柔らかさ」「高さ(厚み)」「部材の品質」の3点に注目して選ぶことがポイントです。組み合わせるシーツやベッドパッドによって布地部分は変わってくるため、表面の素材についてはそこまで重視しなくてもいいでしょう。代表的な3種類のマットレスの特徴は次のようなものです。

【ボンネルコイルマットレス】
耐久性・通気性ともに優秀なボンネルコイルマットレスは、弾力性が高く硬めのマットレス。価格は手頃ですが、一方で揺れが気になるというデメリットもあります。柔らかい寝心地が苦手な方や、寝返りによる多少の揺れは気にならないという方におすすめです。

【ポケットコイルマットレス】
柔軟性が高くて体をきちんと支えてくれ、体圧分散機能にも優れているため、非常に寝心地がいい物です。ボンネルコイルマットレスよりも割高ですが、横揺れも気になりません。その一方で、体が沈みやすいという特徴から、体重のある方には不向きといえそうです。

【低反発マットレス】
低反発マットレスは、重みに応じてゆっくりと体が沈んでいきます。包み込まれるような快適な寝心地が得られ、体も圧迫されません。しかし、気温によって硬さが変わるため、夏場は柔らかくなりすぎることもあります。長時間寝ることの多い方や、体重が軽めの方におすすめのマットレスといえそうです。
●ベッドパッド
マットレスに直にシーツを敷くと、睡眠中にかいた汗がすべてマットレスに吸収されてしまいます。マットレスは掛け布団のように手軽に干すことができませんし、そのまま湿気を溜め込んでしまうとカビの原因にも…。そこで、マットレスにベッドパッドを敷くことで、マットレスに汗が吸収されるリスクも軽減でき、シーツを敷く必要もなくなるのです。
そこで、ベッドパッドの素材として代表的なウール・コットン(綿)・ポリエステルの特徴を見ていきましょう。

【ウール】
吸湿性・発散性ともに優れているウールのベッドパッドは、マットレスに湿気を溜めず、快適に保つことができます。予算に余裕がある場合はウールがおすすめです。

【コットン(綿)】
コットンは吸湿性が高い一方で、発散性が低いという側面があります。こまめな洗濯が必要となりますが、ウールよりも手頃な価格となります。

【ポリエステル】
最も手頃な価格で、洗濯をしても乾きやすいポリエステルのベッドパッド。しかし吸湿性は他のタイプよりも劣るため、汗をかきやすい方や夏場は注意したほうがいいでしょう。

掛け布団の選び方

掛け布団は睡眠中の布団の中の温度を保ち、寝返りをうっても体を優しく包み込む役割を持ちます。選ぶ際に注目すべきポイントは、寝返りを妨げない「軽さ」と、体になじむ「フィット感」。掛け布団の品質は、詰め物、外側の生地、縫製、キルティングなどによって変わってきます。
ここでは、掛け布団でよく使われている素材の特徴を見ていきましょう。

●羽毛布団または真綿布団
羽毛や真綿の布団は外からの温度が伝わりにくく、軽くても保温性に優れ、優秀なフィット感や放湿性を持ちます。そのため、理想的な掛け布団ともいわれています。
●合成繊維布団
中綿にポリエステルなどの化学繊維を使用しているタイプの掛け布団。最近は羽毛に近い温かさや機能性を備えた商品もあります。ほこりが立ちにくく、アレルギーのある方にもおすすめで、丸洗いできるので布団を清潔に保ちやすいというメリットもあります。

また、掛け布団は、春・秋向けの「合い掛け布団」と夏向けの「肌掛け布団」が二枚合わせになっているものも販売されています。これは取り外し可能なので、夏場は1枚で、冬場は2枚合わせて…と、ひとつあれば通年使えるので非常に便利です。

枕の選び方

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枕には、マットレスや敷布団と頭部・頸部のあいだにできる隙間を埋める役割があります。枕が高すぎると首の痛みや肩こり、いびきなどの原因となり、逆に低過ぎても頭痛や肩こり、顔のむくみなどの原因となってしまいます。

枕は素材もさまざまで、人によって硬さ・柔らかさの好みも分かれるため、できるだけ売り場で実際に試してみることが大切です。「高さ」「サイズ」「素材」、それぞれのポイントを見ていきましょう。

●高さ
横向きに寝た場合も、背骨がまっすぐになる高さが適切な枕の高さといわれています。いろいろな向きで試してみましょう。
●サイズ
体の大きさだけで決めるのではなく、実際に寝心地良く感じられるサイズにすることが大切です。
●素材
耐久性や通気性の高さ、洗濯のしやすさが魅力のパイプ素材の枕や、昔ながらの羽毛枕、そば殻の枕などさまざまなタイプが登場しています。こちらも重視したい機能や好みに応じて選びましょう。

お手入れのしやすさ、寿命についてもチェックを

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寝具は毎日使うものなので、汚れたり傷んだりしやすいものです。それを防ぐためには、まめなお手入れが必要になりますが、それを怠るとぐっすり眠れないのはもちろん、カビの発生や肌荒れなどにもつながるといわれています。機能性だけでなく、「手軽にお手入れできるか」という点からも検討してみてください。

また、寝具の質感や機能がどれくらいもつのか、というのもポイント。必ずしも「安かろう悪かろう」ではないと思いますが、良質な睡眠にこだわるなら、ある程度質の良い物を選んだほうが、トータルでのコストパフォーマンスは高くなるはずです。

~おわりに~
朝起きたときにすっきりしない、きちんと寝ていても体が疲れている気がする…という場合は、今使っている寝具に原因があるかもしれません。寝具は人それぞれの体重や姿勢、好みなどによって使い心地が大きく変わってきます。そのため、選ぶ際は口コミだけに頼るのではなく、「自分にぴったりだと思う物」を選びましょう。失敗しないためにも、実際に肌触りや寝心地を体感してから購入することをおすすめします。