運動時の熱中症予防に効果的な服装とは?

暑さのきびしい夏場でもジムに通ったり、屋外での作業やイベントに参加したりする方も多いはず。その際、特に気を付けたいのが熱中症です。熱中症を予防するポイントとしては、こまめな水分補給や日々の体調を整えることなどが挙げられますが、日々の服装に配慮することも大切。体の熱を逃がしやすい素材の服を選んだり、小物を活用したりして、上手に熱中症のリスクを減らしていきたいところです。

ここでは、熱中症予防のための服装選びのコツをご紹介します。普段着だけでなく、熱中症リスクが高くなる運動時の服装や、小物使いのポイントなども見ていきましょう。

熱中症予防の服装のポイント

まずは、夏場の服選びのコツについて。理想は、外部からの熱の吸収を抑えて、体内の熱をスムーズに逃がしてくれる服装です。衣服の素材や形状、色味に注目して選びましょう。

吸水性と速乾性の高い素材

熱中症予防に効果的な服の素材は、汗などの水分を吸う「吸水性(または吸湿性)」と、吸った水分を素早く乾かす「速乾性」に優れた物。おすすめの素材は次のような物になります。

●天然繊維
綿(コットン)…吸水性と保湿性に優れている上、肌触りも非常に良い綿素材。ただし、速乾性はないため、運動時など汗をたくさんかくシーンでは避けたほうがいいでしょう。
絹(シルク)…さらりとした肌触りが特徴的なシルクは、吸湿性・保湿性・放湿性・保温性に優れており、さらに紫外線もカットしてくれます。夏場・冬場ともに活躍するため、持っていると重宝しそうです。
…麻も吸湿性に優れて発散も速く、通気性がいいことが特徴です。麻の中でも、特に「リネン」が肌触りも良く、清潔な状態を保てます。綿よりも汗が乾きやすく、肌に密着しない素材であるため、快適に過ごせる点が魅力。さらに、リネンは雑菌の増殖を抑え、防カビ性にも優れている上、汚れも落ちやすいため、夏場に気軽に着やすい素材といえるでしょう。
●化学繊維
ナイロン…吸湿性や吸水性は、ほかの素材と比べて低いナイロンですが、速乾性には優れています。
ポリエステル…ポリエステルも吸湿性は低いものの、速乾性が高いことが特徴。ただし、静電気が発生しやすい素材でもあります。
レーヨン…レーヨンは吸湿性に優れており、さらりとした肌触りが魅力。

ナイロンやレーヨンは汗をかいてもスピーディーに乾くという特徴がありますが、吸湿性が低いため、蒸れやすい側面がある点に注意したいところです。

通気性のいい形状

夏場の服選びでは、服の形状にも注目して、通気性のいい物を選ぶことも大切。服を着ていないときより、着ているほうが涼しく感じられることがあると思いますが、それは肌と服のあいだに風が通るからともいわれています。

ぴったりと肌に密着するタイプの服は、通気性が悪く熱がこもりがち。熱中症予防のためには、ゆったりとした余裕のある服がおすすめです。袖口も細身のタイプより、大きく開いている物や、ふわっとしている物が◎。

また、首回りを襟などで締め過ぎないことも重要。ここの通気性が悪いと、胸部からの熱気や汗を逃がせなくなってしまいます。襟元も、なるべくゆったりとした物を選びましょう。

熱を吸収しにくい色味

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服の色味は、熱を吸収しにくい白や淡い色の物がいいでしょう。反対に、黒やネイビーなどの濃い色ほど熱を吸収するため、体温が上昇しやすくなってしまいます。

ただし、紫外線対策をしたい場合は、白は黒よりも紫外線を透過しやすいといわれているため、濃い色のほうがいいでしょう。白や淡い色でも、UVカット効果のあるカーディガンなどが販売されているため、そういったアイテムも活用してみてください。

夏場の肌着は熱中症対策に効果的!

暑い日は、なるべく薄着をしたいかもしれませんが、熱中症予防にあたっては「肌着」を着るのがおすすめ。トップスの下に肌着を着ると、汗が肌着に吸収されるため、体温を下げる働きが得られます。さらに、肌着とトップスとのあいだに空気の層が生まれるため、外部からの熱気が遮断されるという効果も。

汗をかきやすい夏場の肌着は、吸水性に優れた素材がいいでしょう。最近は、吸汗・速乾に優れた素材の肌着が登場しているため、夏本番を迎える前にそろえておくと安心ですね。

夏場の運動時に大活躍!熱中症対策になる服や小物

夏場のスポーツや体を動かす作業をする際は、特に熱中症リスクが高くなるため、普段着以上に衣服に配慮したいところ。最近は、夏向けの速乾性に加えて、冷感・接触冷感機能を備えたコンプレッションウェア(※)や冷感インナー、除湿インナーなどが登場しています。このような服を取り入れることで、運動時や作業時でもある程度涼しく快適に過ごすことができるでしょう。

※コンプレッションウェア…そもそもはスポーツ向けに作られた、伸縮性が高く体にフィットするインナー。

また、屋外で長時間過ごすのであれば、極力直射日光を頭に浴びないようにしたいところ。冷感キャップなどを活用して直射日光をブロックし、頭部の熱を逃がすようにしてください。

服装への配慮に加えて、熱中症対策グッズも取り入れてみましょう。アームカバーや冷感スプレー、クールシートなどを使って、手軽に体を冷やせるように工夫することで、熱中症のリスクを大きく下げることができるはずです。

~おわりに~
運動時や屋外での作業時は、予想を上回る暑さに見舞われてしまうこともあるでしょう。熱中症を予防するためには、体調管理に加えて服装にも気を配ることで、さらにリスクを回避することが可能になります。また、普段着を選ぶ際も、「熱を逃がしやすいか」「汗が蒸れにくいか」といった観点から素材や形に配慮し、夏のおしゃれを楽しんでみてください。