
元プロテニス選手・岩渕聡さんに聞く!
スクールで伸びる子どもの力
ゲームや動画を好む子どもが増え、活発に身体を動かして遊ぶ機会が減っています。子どもの体力低下や一人遊びの多さを懸念し、「人と関わる機会が多く、体力がつく習い事をさせたい」と考える保護者も多いのではないでしょうか。
テニスは生涯スポーツとして、何歳からでもはじめられる魅力的な習い事のひとつです。スクールでは仲間や対戦相手との交流を通じて、年齢を超えたコミュニケーションが生まれます。また、全身をバランスよく使うことで、運動能力の向上にもつながります。
今回は、元プロテニス選手の岩渕聡さんにインタビューしました。ご自身のジュニア時代からの歩みを振り返りながら、テニスを通じて得られる力や、テニスを楽しくつづけるためのポイントについてお話を伺いました。

教えてくれたヒト
- 岩渕 聡さん
- 小学3年生でテニスをはじめ、6年生時に全国小学生テニス選手権で優勝。柳川高等学校3年時に3冠(団体、個人単複)達成。高校卒業とともにプロに転向し、全日本テニス選手権ではシングルスを2度、ダブルスを8度制覇。デビスカップ代表に選出され、アトランタ、シドニーとオリンピックに2大会連続出場。2007年ルネサンスとプロフェッショナル契約を結ぶ。2009年11月現役引退。2024年10月に一般社団法人IWABUCHI代表理事として株式会社ルネサンスと「ルネサンス国際オープンテニス」を開催した
小3ではじめたテニスにのめり込み、小6で全国の小学生の頂点に立った

--テニスをはじめたのはいつ頃ですか?
岩渕「小学校3年生のとき、地元のテニススクールに通いはじめました。両親は軟式テニスの経験者でしたが、テニスをしなさいといわれたことは一度もありません。さまざまなスポーツにふれた後、テニスに興味を持ったらはじめてほしいと考えていたようです。
テニスをはじめてからは、純粋に『ボールを打つのが楽しい』と感じ、夢中でスクールに通うようになりました。今思えば、自分に合ったスポーツだったんだと思います」
--そのテニススクールを選んだ理由はなぜでしたか?
岩渕「家から近かったからです(笑)。せっかくやるなら毎日ボールを打ったほうが上達しますし、遠方だと送迎も大変ですから、両親は通える範囲にテニススクールができて喜んでいたんじゃないでしょうか。
当時は今のように段階を踏んでジュニアを育てていくプログラムが確立されておらず、最初から大人の重いラケットで、大人と同じイエローボールを打っていました。初心者コースからのスタートでしたが、ボールを打ちたくて週に5~6日は通いました。その結果、4ヶ月ほどで選手コースに移ることができました」


--テニスをはじめて3年目の小学校6年生のとき、全国小学生テニス選手権で優勝されていますね。短期間でここまで上達できたのは、なぜだと思われますか?
岩渕「選手コースに移って試合に出るようになってから、練習したことを本番で試して成功すると勝てることがわかりました。同年代の子たちに勝てることがうれしくて、練習することが苦になりませんでした。楽しんで練習するから勝てる、勝てるからわくわくしながら練習する、そんな好循環が生まれていたのだと思います。
また、打ち方の指導よりも精神的な面を鍛えることに注力してくれたコーチの存在も大きかったですね。いい加減に取り組まず、テニスとしっかり向き合いなさい、と常にいってくれました」
結婚して視野が広がり、プロとしてはじめて直面した壁を乗り越えられた

--その後も活躍を続けられて、柳川高校3年生の時に3冠を達成されています。これまで順風満帆なテニス人生に見えますが、挫折を感じたことはありましたか?
岩渕「プロになってから、大きな壁にぶつかりました。高校までは順調に成長を実感できていましたが、プロの世界では相手のレベルが圧倒的に違いました。
高校時代は国内の同年代との戦績が自信の支えでしたが、プロになってからはそれが通用しない現実に直面したんです。すごい世界だ、とわくわくしていたのも3年目までで、次第に自分の限界が見え、苦しい時期を迎えました。
プロになったときに立てた『25歳で全日本優勝、日本代表、世界100位以内を目指す』という目標のうち、25歳になったときにクリアできていたのは日本代表だけ。しかも、期待の若手としての選出で、実力が伴っていないことは自分でもわかっていました。このまま終わるのかもしれないと悩み、引退も頭をよぎった時期です」
--苦しい時期をどう乗り越えましたか?
岩渕「結婚が大きな転機となりました。それまで1人で戦っている感覚が強く、孤独を感じていましたが、結婚をきっかけに心の支えができました。妻はテニスの知識がなかったため、小さな試合で勝つだけでも純粋に喜んでくれましたし、負けても特に気にすることはありません。そんな姿に触れるうちに、勝つことだけにとらわれ、テニスの楽しさを見失っていた自分に気づきました。
一度は諦めかけましたが、その後、全日本選手権でシングルス2度、ダブルス8度の優勝を果たせたのは、妻の存在が大きかったと思います」
--ご両親はどのように関わっておられましたか?
岩渕「母はいつも程よい距離感で見守り、試合で結果を出せば褒めてくれました。一方、父は厳しく、プロになる前もなった後も『もっと頑張れ』といいつづけていました。
プロの世界に入ると、厳しく指導してくれる人がいなくなるため、今振り返ると父の言葉は貴重だったと感じます。家族がそれぞれ異なる形で支えてくれたので、よいバランスだったと思います」
勝ち負け以外の喜びを積み重ね、テニスをずっと好きでいてほしい

--これからテニスをはじめる子どもたちには、どのようにテニスに親しんでほしいですか?
岩渕「まずは楽しんで、テニスを好きになってほしいです。僕自身、テニスが大好きだったから練習が苦にならず、努力した分だけ結果を出すことができました。
ただ、試合に出るようになると、結果を求める気持ちが強くなりがちです。競技として勝ちたいと思うことは大切ですが、目先の勝敗にこだわりすぎると、テニスを楽しむ気持ちを見失ってしまいます。
その結果、僕がプロになってから経験したバーンアウトの状態を、もっと早い段階で味わい、テニスから離れてしまう可能性もあります」
--才能のある子どもたちがテニスに夢中になり、テニスを嫌いになって離れてしまうのは悲しいことですね…。
岩渕「テニスの試合は、勝ち負けだけでなく、戦略を考える力や柔軟な発想、ミスをしたときの気持ちの切り替え方、マナーや立ち居振る舞いを学ぶ機会でもあります。ダブルスや団体戦を経験することで、仲間とのコミュニケーションの大切さも身につけられるでしょう。
テニスの魅力は、総合的な運動能力を鍛えながら、日常生活にも活かせる力が身につくことです。勝利はご褒美のようなものだと思って、できなかったことができるようになる小さな喜びを積み重ね、テニスを好きでいつづけてくれたらうれしいですね」
世界を見据えるジュニアのために、これまでの経験を活かしたい

--テニスを好きでいつづけるには、練習環境や、良い指導者との出会いも大切ですね。
岩渕「そうですね。興味を持ったら毎日でもプレーしたくなる子は多いと思います。天候に左右されずに練習できるインドアコートを選ぶのもひとつの方法です。練習頻度が高いほど上達しやすいので、環境選びは重要ですね。
コーチとの相性も大切なので、スクール全体の方針に納得できたら、まずは気軽にはじめてみるのがいいと思います。そのなかで、フィーリングが合うコーチを見つけることが大切です。保護者の方にぜひ注目してほしいのは、コーチが子どもと真剣に向き合っているかどうか。子どもは大人の本音を見抜く力があります。本当に熱意を持って指導してくれるコーチに出会えれば、幼い頃の僕のように、純粋にテニスに打ち込めるはずです。
また、ルネサンスのインドアテニススクールでは、SONYの先進技術とコーチの指導を融合した『スマートテニスレッスン』を導入しています。プレー動作を可視化することで、アドバイスがより具体的に理解でき、練習の手応えを感じやすくなるので、活用してみるのもおすすめです」

--ありがとうございました。最後に、ご自身の展望をお聞かせいただけますか?
岩渕「選手時代からサポートしてくれているルネサンスと共に、プロとしての経験、デビスカップ日本代表監督の経験、そして錦織圭選手の帯同経験を活かし、テニスの普及やプロ選手の育成に取り組んでいきたいと考えています。
その一環として、2024年に初開催したITF(国際テニス連盟)の男子ツアー下部大会『ルネサンス国際オープンテニス』を企画しました。また、ジュニアスクール生に競技としてのテニスを経験してもらうための『RENAISSANCE CUP BEGINNER JUNIOR CHAMPIONS』への参画やルネサンスのジュニアカリキュラムの監修も行っております。
1ポイントを競い合うテニスの醍醐味を味わえる場を、世界をめざすジュニア選手のために1つでも多く作っていきたいですね」
~おわりに~
ルネサンスのジュニアテニススクールは、年齢別に7段階のレベル分けを行い、初心者から経験者まで一人ひとりに合わせたレッスンを開設しています。 テニスの技術向上だけでなく、健全な心と身体の発育を促し、コーディネーション能力を養うことができます。お子さまの習い事として、ぜひルネサンスのテニススクールをご検討ください!
「ルネサンス ジュニアテニススクール」ご案内ページへ