スポーツをする子供の栄養は?
家庭でも取り組みたい食育について

子供のすこやかな成長のためには、栄養バランスのとれた食事が欠かせません。しかし、特にスポーツをしている子供の場合、消費するエネルギーが多いため、気を付けているつもりでも栄養素が不足してしまうことがあります。
子供にとって大切な「食育」と、スポーツする子供に不足しがちな栄養の補い方について、ルネサンスの管理栄養士・石神咲希に話を聞きました。

子供の心身の成長にとって大切な「食育」とは?

子供と食事や栄養との関わりの中で、よく聞くのが「食育」という言葉です。2005年に制定された食育基本法では、食育を「生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの」「さまざまな経験を通じて『食』に関する知識と『食』を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる」と位置付けています。
では、食育とは、具体的にどのような取り組みを指すのでしょうか。

「近年、成長期の子供の健康において、栄養素摂取の偏りや朝食の欠食のほか、それに伴う肥満とやせなどの問題が深刻化しています。このような子供の食と健康を取り巻く問題の解決を目指すのが食育です。
食育の狙いは、子供たちが食に関する知識を得て、正しい食事を選ぶことができる力をつけること。そして、大人になってからも学んだことを活かし、生涯にわたって健康を維持することを目的としています」

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家庭の中で伝えたい子供の食育

食育といえば、学校の授業や給食などを通して学ぶことができます。しかし、それだけではなく、「家庭生活の中で食事について伝えることも大切」と石神は言います。

「例えば、保護者の方に朝食をとる習慣がなければ、おのずと子供も朝食欠食の可能性が高くなります。学校で、勉強として学ぶ食育の知識も大切ですが、子供の食習慣に大きく影響するのは、やはり家庭での食事。子供といっしょに配膳を整える、食材の買い物に行くなど、無理なくできることから食への興味を引き出せるといいですね。
親子で料理を楽しんだり、調理をしているところを見せたりするのも良いと思います。『お肉を食べると強い体になれるよ』『牛乳を飲むと骨が強くなるよ』といった声掛けをすると、食への関心がより深まるのではないでしょうか」

子供に必要な栄養素と不足しがちな栄養素

子供は活動と成長のためにたくさんのエネルギーや栄養を必要としていますが、スポーツをする子供の場合はさらにエネルギーの消費量が多く、必要な栄養も多くなります。そのため、しっかりと必要な栄養をとらなければ、筋肉が減ったり、体の成長を妨げたりしてしまう可能性があります。
子供の食事でまず大切なのは、「バランス良く」ということ。加えて、スポーツをする子供の場合は、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか。

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「バランスの良い食事というと『一汁三菜』を思い浮かべる方が多いと思います。スポーツをしているお子さんの場合は、主食(ごはん、パン、麺類)・主菜(肉、魚介類、卵、大豆・大豆製品)・副菜(野菜、海藻類、きのこ類、イモ類)に加え、そこに牛乳・乳製品や果物をとることをおすすめします。牛乳に含まれるカルシウムや、果物に含まれるビタミンCは、スポーツをする上で非常に大切な栄養素です。
また、子供に限らず運動をする方は、スポーツをするための筋肉も必要ですから、一般の方に比べて多くのたんぱく質が必要とされています。また、体を動かすエネルギー源になる糖質(炭水化物)も、不足しがちで気を付けたい栄養素です」

子供の体質や競技によって必要な栄養量は異なる

スポーツをする子供の場合、いつでもたんぱく質や糖質が多めの食事を心掛ければ良いのでしょうか。

「一概にそうとは言えません。例えば、エネルギーをたくさん使うことが予想される試合前なら、すぐにエネルギーに変換されやすい糖質を多めに、消化吸収がしづらい脂質は少なめにするのがいいでしょう。体を作りたい時期であれば、たんぱく質の量を増やすといったコントロールが必要になるかもしれません。
お子さんの年齢や体質、競技、タイミング、期分けによっても必要な栄養素は異なります。年齢別の食事摂取基準を参考にしながらも、その子に合った栄養バランスを考えていきたいですね。また、女子は月経が始まると、貧血が起こりやすくなることがあります。貧血と聞くと鉄分不足と考えがちですが、たんぱく質不足など、ほかの原因で起こることもあるため、自己判断せず専門家に相談してください。
いずれにしても、急激に食事量を増やしたり減らしたりすることはおすすめしません。消化吸収機能に負担を与えないように、日々の習慣の中で無理なく調整していきましょう」

偏食や少食の子供への対処方法は?

子供によっては好き嫌いがあったり少食だったりして、理想の量や種類を食べられないことがあります。そのようなときも、ちょっとした工夫で改善できる可能性があると石神は言います。

「好き嫌いがある場合は、まず本人からなぜ嫌なのかを聞き出しましょう。『生が苦手』『大きい食材が食べにくい』といった理由であれば、調理法を工夫することで解決する可能性があります。
どうしても食べられない食材があるときは、同様の栄養素がとれる別の食材を検討してみるといいでしょう。ただし、子供の味覚は成長に伴って変化することも少なくありません。『嫌いな食材だから出さない』ではなく、苦手意識を払拭する方法を根気よく探っていくことも大切です。
少食のお子さんに対しては、まずは好きな物から、少しずつ食べる量を増やしていけるといいですね。1回あたりの量を少なくして、食事の回数を増やすのもおすすめです。

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少食の子に限らず、スポーツをしているお子さんの場合は食事量が足りていない可能性があります。学校で昼食をとった後、何も食べずに部活動を始めると、空腹状態で運動をすることになります。空腹状態で運動すると、エネルギー不足で良いパフォーマンスを発揮できませんし、集中力も維持しにくくなるでしょう。
可能であれば、部活の前におにぎりやパンなどの軽食をとれるといいですね。なお、『間食に甘い物を食べたいけれど、脂質のとりすぎは避けたい』という場合は、洋菓子よりもあんこを使った和菓子がおすすめです。ただ、偏食も少食も、急に改善するのは難しいものです。あくまで食事でのアプローチを基本としつつも、運動のためのエネルギーが足りないときは、サプリメントで補うのも有効な方法です」

子供にサプリメントを与えてもいい?

不足した栄養素を手軽に補うことができるサプリメント。タブレット、ドリンク、粉末、ゼリー状、エネルギーバーなど、さまざまなタイプがあります。しかし、そもそも子供にサプリメントをとらせても大丈夫なのでしょうか。

「サプリメントは、たんぱく質やビタミンなど、特定の栄養素を補うためのもの。栄養素に大人・子供の区別はありませんから、サプリメントを子供がとること自体に問題はありません。カルシウムやDHAなど、子供向けに販売されているサプリメント商品も多いですし、欲しい栄養素をピンポイントでとれる、手軽で持ち運びがしやすいなど、上手に活用すればさまざまなメリットがあります。
例えば、成長期のお子さんの場合、体づくりのため必要なたんぱく質が不足しがち。食事で摂れることが理想的ですが、食事量が食べきれない場合や手軽に摂取することが目的であればプロテインを活用して補うのも良いでしょう。
ただし、気を付けなければいけないのが摂取量。多くのサプリメント商品は大人を対象にしているため、表示分量どおりだと、子供には多すぎです。子供の体格や不足している栄養素に応じて、適切な量を見極めることが大切です」

子供にサプリメントを与えるときの注意点

特に子供の場合、サプリメントの適正な使用量を守らないと、必要以上の栄養素を体に取り入れることになってしまいます。一般的に体に良いといわれている栄養素も、過剰な摂取を続ければ内臓への負担となり、体調に悪影響を及ぼすことも。「サプリメントをとるときには、まずはお子さんの必要な栄養の量と実際に摂取している量を知っておくことが必要です」と石神は言います。

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「子供の実際の食事内容を把握せずに『栄養が足りていない』と思い込んだり、『周りのみんなが飲んでいるから』とイメージだけでサプリメントをとったりするのはNG。食事で栄養がとれているのにサプリメントを加えると、栄養過多になってしまいます。さらに、消化吸収のしやすいサプリメントばかりに頼っていると、子供の内臓機能をしっかり発達させることができません。
子供にとって必要な栄養を知り、それに対して現在の食事はどうなのか、どの栄養素がどれくらい不足しているのかということを、お子さん本人もいっしょに考えていけるといいですね。そういった会話から食への興味関心が深まり、食育にもつながると思います」

~おわりに~

子供の成長のためには、栄養バランスの整った食事が重要です。スポーツをする子供の場合、体づくりのためにも、運動をするエネルギー補給のためにも、さらに食事の重要性は増すでしょう。子供自身が食に興味を持ち、必要な栄養を理解して摂取していけるよう、家庭でも食育に取り組みたいですね。

総合スポーツクラブのルネサンスでは、たんぱく質不足を補うためのサプリメントであるプロテイン「Reオリジナル ホエイプロテイン」を、全国のルネサンスクラブや公式オンラインショップで販売しています。水に溶かすだけなのでジュース感覚で飲みやすく、量の調節もしやすいのが特徴。子供のエネルギー補給や体づくりで不足しがちなたんぱく質を補うため、プロテインの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
https://lp.s-re.jp/wheiprotain

スタッフ画像

記事監修

株式会社ルネサンス 管理栄養士 石神 咲希

フィットネストレーナーとして栄養・運動指導を経験したのち、現在はボディメイク系プログラムの開発や、自治体向け栄養セミナーの講師、さらにジュニアアスリートへの栄養サポートなど、さまざまな分野に携わる。