自律神経を整えるには?
乱れる原因とすぐできる実践方法をご紹介
自律神経のバランスを整えるためには、ストレスをできるだけ溜め込まずに発散させ、規則正しい生活を送ることが大切です。では、具体的にどのような生活を送ることが望ましいのでしょうか。
今回は自律神経を整えるために、日常生活の中で意識して取り組みたいことについてご紹介します。
自律神経って?自律神経を整えるには
自律神経は、血管をはじめ、あらゆる内臓器官を自分の意思とは無関係に調整してくれる神経です。呼吸器官や消化器官、体温調節機能といった、私たちの体の生命維持機能をコントロールする役割を担っています。
自律神経は交感神経と副交感神経に分けられますが、基本的には人が起きて活動している時間帯は交感神経が、そしてリラックス時や夜に寝ている時間帯に副交感神経が優位になるといわれています。交感神経が優位な場合、血管が収縮して血圧が上昇し、心身が活動的な状態になります。そして、副交感神経が優位な場合は、血管が緩んで血圧が低下し、心身もリラックスした穏やかな状態になるのです。この交感神経と副交感神経が必要に応じて切り替わり、体内のバランスが保たれています。
自律神経が整っていればこの切り替えがスムーズにいきますが、乱れてしまうと切り替えがうまくいかなくなり、心身にさまざまな不調が現れます。つまり、自律神経を整えるということは、心身の健康を保つために、交感神経と副交感神経の切り替わりをスムーズにできる状態にすることだといえます。
自律神経が乱れる原因と症状
自律神経が乱れる原因
自律神経の乱れは、日常生活においてさまざまな原因によって引き起こされることがあります。主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- ●ストレス
- 日々の生活において避けられないストレスは、自律神経のバランスを大きく崩すことがあります。仕事のプレッシャーや人間関係の問題などが、自律神経の乱れを引き起こす一因となることが多いです。
また、強い光や騒音、季節の変わり目によって起こる温度変化など、環境的なストレスも自律神経の乱れを引き起こすことがあります。 - ●不規則な生活習慣
- 睡眠不足や栄養バランスの偏った食生活、昼夜逆転の生活といった不規則な生活習慣は、自律神経の調節機能に影響を与えます。不規則な生活習慣を送り続けてしまうと生体リズムが狂い、自律神経のバランスも乱れてしまう原因に。
- ●運動不足
- 定期的な運動は自律神経のバランスを保つ上で重要です。運動不足は自律神経のバランスを崩し、体調不良やストレス耐性の低下を引き起こす可能性があります。
自律神経が乱れると起こる症状
自律神経が乱れると、さまざまな身体的・精神的な症状が現れることがあります。代表的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- ●身体的な症状
- 疲労感、頭痛、めまい、胃腸の不調、不眠、冷えや発汗異常などがあります。自律神経のバランスが崩れることで、体のさまざまな部分に影響を及ぼします。
- ●精神的な症状
- 焦燥感、不安感、イライラや気分の落ち込みなど、精神的な不調も自律神経の乱れによって引き起こされることがあります。
これらの症状や原因に注意を払い、ストレス管理、規則正しい生活リズムの維持、適度な運動、バランスの取れた食事、快適な環境作りに努めることが、自律神経を整えるライフスタイルへの第一歩です。
日常生活の中で取り組みたい、自律神経を整える方法
ここからは、日常生活の中で取り組みたい、自律神経のバランスを整える方法をご紹介します。ただし、この方法を実践すれば自律神経が必ず整うというわけではないため、つらい症状が続く場合は、早めに医師に相談しましょう。
朝起きたら日光を浴びる
朝起きたら、まずはカーテンを開けて日光を浴びる習慣をつけましょう。目から光の刺激を入れることで、体内では「セロトニン」が活性化されます。「幸せホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質のセロトニンには、自律神経を整える働きがあるのです。また、陽射しをたっぷり浴びることで体内時計がリセットされ、体に活動と休息のリズムも生まれます。そのため、不眠などの症状にも効果的です。
軽い運動
適度な運動はストレス解消にもつながります。体を動かすことで心臓から血液が送り出され、セロトニンをはじめとした神経伝達物質が活性化し、爽快な気分になれるのです。急にハードな運動をすると逆に心身に負荷を与えてしまうリスクがあるため、まずは散歩やウォーキング、ヨガなど、無理のない範囲で体を動かすことがおすすめです。
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毎日お風呂に浸かる
毎晩シャワーで済ませてしまっている方も少なくないと思いますが、夜にゆっくりとお風呂に浸かることで得られるメリットは多くあります。入浴のポイントは、ぬるめのお湯に入ること。36~40℃程度のお湯に浸かることで副交感神経が優位になり、心身がリラックスした状態になって質の良い睡眠にもつながります。逆に熱いお湯では交感神経が活発になってしまうので気を付けましょう。
良質な睡眠
良質な睡眠をとることは、自律神経のバランスを整えるにあたって重要です。副交感神経が働く睡眠時は、心身の疲れを解消し、細胞の修復も行われる大切な時間。就寝前はリラックスした状態で、できれば部屋は消灯した状態で眠りにつくことがおすすめです。
- ●就寝前のスマートフォンは控える
- 就寝前にスマートフォンを長時間見ることは、ブルーライトによってバイオリズムが乱れてしまうため、心身にストレスを与えてしまうとされています。そのため、就寝前はできるだけスマートフォンなどのデバイスは使用しないようにすることをおすすめします。また、スマートフォンを使用することによってたくさんの情報を受け取る生活は、心身の疲労の原因になるともいわれています。
- ●適度な昼寝
- すでに自律神経が乱れがちで不眠に悩まされている場合、昼寝をしてみることもおすすめです。昼寝をするタイミングとしては、なるべく午後に15~30分程度が望ましいです。適度に昼寝をすることで副交感神経が働き、心身をリラックスした状態に導くため、自律神経を整えるのに効果的です。
注意したいのは、長時間寝ないようにすること。日中にたくさん寝てしまうと、夜、寝付きが悪くなる…という悪循環に陥ってしまうため、あくまで15~30分程度にとどめておきましょう。
食生活の改善
自律神経を整えるためには、食事も意識したいところ。ここでは、食生活のポイントをご紹介します。
- ●栄養バランスのとれた食事
- 日々の食事からとる栄養は、自律神経のバランスにも大きく関わってきます。特に積極的にとりたいのは、ビタミンやミネラルといった、普段の食事で不足しがちな栄養素。外食やインスタント食品中心の食生活になっている方は、栄養バランスを整えることを意識しましょう。
- ●セロトニンの生成に必要な栄養素をとる
- 「朝起きたら日光を浴びる」や「軽い運動」でも登場したセロトニン。セロトニンが多いほど、良質な睡眠をサポートするホルモン「メラトニン」の分泌を促進させます。そのため、メラトニンの分泌をスムーズに行えれば、良質な睡眠にもつながり自律神経のバランスを整えることができます。
そんなセロトニンは体内で貯蔵することができないため、食べ物からセロトニンを生成する栄養素を摂取することがポイント。必要となる栄養は、必須アミノ酸の「トリプトファン」のほか、「ビタミンB6」「炭水化物」の3つとなります。それぞれ、次のような食品に豊富に含まれています。
・トリプトファン…牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品や大豆製品
・ビタミンB6…カツオ、マグロなどの魚類、レバー、肉類
・炭水化物…白米やコーンフレークなどの穀類
なお、イワシからはトリプトファンとビタミンB6の両方をとることができます。また、バナナは3つの栄養素をすべて含んでいる食品なので、常にストックしておくといいでしょう。
腸内環境を整える
腸は「第二の脳」と呼ばれるほど、ストレスや緊張などの精神的な影響を受けやすい器官です。便秘や下痢などによって腸が不調な状態ですと、副交感神経の働きが低下してしまいます。そうすると血管が収縮して血流も悪くなり、栄養が体のすみずみまで行き届かず、体調不良を引き起こしてしまうのです。
そのため、便秘や下痢の症状が出やすいという方は、次のような腸活を生活習慣に取り入れてみるのがおすすめです。
- ●朝起きたらコップ1杯の水を飲む
- ●ストレッチで腸を活性化させる
- ●食物繊維や乳酸菌を積極的にとる食生活
- ●夕食を食べてから3時間は消化時間にあて、リラックスすることで交感神経の働きを落ち着かせる
首を温める
冷えや疲労感も自律神経の乱れによるおもな症状ですが、自律神経の機能を高めるためには、首を温めることが効果的。首には太い血管が通っているため、温めることで全身の血流が良くなり、冷えや疲れも解消されやすくなります。血流が良くなることで首や肩のこりをほぐすことも期待できるでしょう。首を温めることは副交感神経の活性化にもつながるため、心身をリラックス状態に持っていきやすくなります。
首を温める方法としては、ホットタオルや温熱シートの使用がおすすめです。首元と合わせて、目元も温めるのが◎。温めるタイミングは、日中に疲れを感じたときや、就寝30分前がいいでしょう。